教育学科教育学専攻教育学専修

教育の意味、人間の成長と発達、各国の教育制度と政策、学校教育問題、教師論、教育内容と方法、現代社会と子ども等の諸テーマをめぐり、歴史学、哲学、行政・政策学、法学、社会学、情報科学、国際比較などの学際的視点から教育について、多角的なアプローチを展開します。

取得できる学位
学士(教育学)
取得できる教員免許状
社会(中学1種)
地理歴史(高校1種)
公民(高校1種)
特別支援学校(1種)

特色

1
教育という事象について、関連諸科学の知見をふまえ総合的・多角的に探究します。
2
個別の教科教育に限定せず、教育や学びを幅広く捉える視点を習得します。
3
学校教育等の具体的課題と向き合い、研究活動を通して原因を解明し解決策を探ります。
 

教育の「当たり前」を深く問い直し、教育を再構築する当事者として社会に貢献します

教育学専修での学びは、個別教科の知識習得にとどまらず、関連研究分野(哲学、歴史学、社会学、行政学、財政学、経営学、情報科学等)の知見を生かし、教育を広い視野から俯瞰することを意識します。

教育の本質や働きを理論的・実証的に解き明かし、教育をめぐる事象を歴史的・多角的に読み解きます。

とくに、社会と教育とのさまざまな問題を議論する時代こそ、科学的根拠と当事者の視点を大切にし、実践や制度を改善するための知的貢献を行うことには、大きな意義があります。

教職をめざす者、公教育を支える行政施策(福祉分野を含む)に関わる公務員をめざす者はもちろん、一般企業の多様な業種で活躍することを選ぶ者、ソーシャルビジネスの開拓やNPO法人の立ち上げ準備をする者…等々。さらに、高度な知識を身につけたり、学術研究の発展に貢献したりするために大学院に進学する卒業生も少なくありません。多くの先輩が多方面で誇りを持って活躍しています。

 

YUASA SORA
教育学科 教育学専攻
教育学専修 4年
※2023年当時
遠藤 愛菜

毎日が刺激と学びにあふれ、充実しています

将来教育に携わることを見据え、「日本の教育をより良いものにするために何ができるか」を考えるために、教育学専修を選択しました。教育行政学、比較教育学、教育心理学など、教育について幅広くかつ専門的に学ぶことができるうえ、自分が受けてきた教育との関連を実感する機会もあり、学んでいて面白いです。
3年生からは教育社会学を扱うゼミに所属しています。当たり前だと思っていることの中に課題を見つけたり、他のゼミ生から自分にない視点を得られたりと、刺激の多い日々です。早稲田祭にも例年企画を出展しており、ゼミ生同士本気で意見をぶつけ合い企画を練り上げていく過程では、言葉では表せないほどの学びと充実感を得ました。
学部の授業やゼミで学びを深めるかたわら、フィンスイミングという競技にも打ち込み、日本代表として世界大会に出場するという貴重な経験もさせていただきました。勉学、スポーツ、その他さまざまなことに取り組む中で得た経験や人とのつながりは、今後の人生の糧になると確信しています。
将来は高校の教員になりたいと考えており、広い視野を持って高校生に向き合うために、これからも学びと経験を積み上げていきたいです。

YUASA SORA
教育学科 教育学専攻
教育学専修 4年
※2023年当時
湯浅 空

教育工学で得た視点は社会でも活かせます

高校時代、教科の枠組みにとらわれない授業をしてくださる先生に出会ったことから、学校教育における教科の意義をはじめとして、自分が受けてきた教育はどのような制度や理念の下にあり、どのような課題が存在するのか探究したいと考え、教育学専修を志望しました。
入学と同時にコロナ禍に見舞われましたが、春学期の授業担当の三尾先生が不定期で開催してくださっていたオンラインサロンに参加し、先生やほかの学生と他愛のない話を交えながら対話する中で自身の興味関心を深め、研究テーマを見出すことができました。
所属ゼミでは、「教育工学」「教育方法学」の視点から、あらゆる教育活動を掘り下げることができるので、ゼミ生の研究テーマも幅広く、多様な刺激を受けることができます。自身の卒業論文では、高校時代の模擬国連活動、大学3年時にサークルの代表を務めた経験、就職活動、教育実習などで得た気づきも活かしながら、従来の教科教育とは異なる「議論の作法」を学ぶ授業の必要性とその展開方法を論じています。
さまざまな方法や手段を用いて人間の営みをより豊かにしようとする「教育工学」の視点が、これから自分が従事するシステムエンジニアの仕事にもつながると思っています。

 

授業紹介

教育学概論Ⅰ

教育学全般にわたる基本的な諸主題、諸領域、諸概念、諸論点に関する理解の形成をめざします。社会において教育、ひいては学校が人間の育成に対して、どのような機能を果たしてきたか、果たしているか、果たすべきかについて考察するための基礎的な能力を形成します。さらに、こうした諸理念を実現すべく学校教育はどのように機能しているかを具体的な事例をもとに検討し、現場での実践力の基礎を培います。

教育学演習Ⅰ・Ⅱ

専任教員がそれぞれの専門性や強みを生かしたゼミナールを開設しています。各教育研究分野の最先端の研究成果について批判的に読み解き(輪読)、自らの問いを大切にしながら卒業論文を仕上げます。オーソドックスな卒論指導のみならず、教育と社会のあり方を具体的・協働的に問い直し、内発的な問いを踏まえて共通のテーマについてゼミ生同士の学び合いを促す企画を運営・実施し学びの手法を進化させる実践も展開されています。

 

研究室紹介

教育工学研究室 三尾忠男教授
“教育”をシステム的に研究する:
教育工学

未来の自分の「最適な学び方」
情報社会への備えは?

学び方や教育の方法には、最適な方法(最適解)があるのでしょうか。

自分の勉強方法、教え方、それは「期待する成果につながる」方法でしょうか?未来の、これからの学びについてはどうでしょ?自宅での学習、授業をする時に必要な技術・技能。その技能・技術の身につけ方の学び方はどのようにしていますか?普通、人は自分が経験した学び方や周りの人の真似をして学び方や教え方を習得していきます。これがいいと選んで自分の方法として取り入れます。でも、それはわたしたちにとって最適な方法なのかな?と問うことはなかったかもしれません。また、今の方法がこれからも効果的であり続けるかも大事な問いです。これらの問いを追求している学問が『教育方法学』、『教育工学』です。

研究室には、情報化の視点の足跡が。
実機を手に取り、さらに、未来を想う。

パーソナル・コンピュータとの出会いは、私が高校生のとき、友達の自宅にあったパソコンでした。当時、プログラムとデータは磁気テープの一種の音声カセットテープに記録するものでしたが、その仕組みにとても興味を持ち、毎週、友人の家に通って操作していました。その後、大学でコンピュータの教育利用の研究室(日本語ワープロ専用機(日本で第2号機)も所有)へ出入りしてさまざまな教育用プログラムや映像教材の研究開発から始まり、現在に至ります。写真のように、私の研究室には当時からの電子機器に溢れています。ワープロ専用機、モデム(電話機とパソコンをつなぐ)、ロボットなどなど。その進化で劇的なことの1つが、記録容量の増大化です。写真、動画などを今、容易に撮影、保存できるので、 “何を撮ろうか?”とあらかじめ考えておく必要がありません。でも、その記録したものを活用していますか?情報の大海の中で、迷っていませんか?

これらの進化の度に、教育と学習での活用はどうあるべきかを研究してきました。研究室所有のモノを実際に手に取り、当時の情報環境のことをかたり、未来を一緒に想像してみませんか?

また、物理・理科の教員免許を持っているので、身近に体験できるグッズもいろいろ。研究室を訪問してくる学生たちと、直接体験とデジタル化された擬似体験、その技術進化を振り返りつつ、未来の学びを想像しています。

新しい時代の教育・学び方を創りましょう

私が愛用している考え方の1つが、「経験の円錐」。

自分の学びを組み立てるとき役に立つ考え方です。これは、学ぶメディア(媒体)による体験の抽象度を階層的に図式したものです。70年以上前にE.デールが作成しました。この図は、学びにとって体験が大切であることを教えてくれます。そして言葉を使うことと体験についての関係も教えてくれます。例えば、“雪”を知らない人がいたとします。その人へ紹介する時、言葉や知識、写真だけでは、冷たさ、美しさ、一緒に遊ぶ楽しさを共有することはできません。一度“雪”を体験すると、次から目の前になくても「雪」という抽象的な言葉を使って話すことができるようになります。共通の体験があることは、言葉を使って互いに理解することとこんな関係があることがわかります。また一方で、体験は学ぶのに時間が必要です。体験と言葉での学びをどのようにバランスを取っていくと最適な学び方になるのかも大事な問いです。

今、擬似体験技術、特にバーチャル・リアリティ技術等は身近に体験できるようになってきました。これらは直接体験にどこまで迫ることができるのでしょうか?それらは学びにどんな未来をもたらすのでしょうか。

21世紀をこれから作っていくみなさんの知的創造にとって必要な体験の多様性とそこからの学びはどうあるといいのでしょうか。未来の学び方に興味を持ったなら、研究室で一緒に考えてみませんか。

 

進路状況

ひとつの進路に凝り固まらないことが強み

教育全般を見渡せる専修の性格上、多様な進路を目指す入学生が集まります。初年次秋に、本学キャリアセンターから講師を招いて、専修に特化したキャリア支援オリエンテーションを実施しています。先輩たちは、教育職を含めた多様な進路へと進んでいます。ひとつの進路に凝り固まらないことは本専修の強みでもあります。もちろん、これが強みになるのは、個人がどれほど強い思いをもって大学の教育環境を積極的に活用するかにもかかっています。

2018~2022年度卒業生データ

教育学科[教育学専攻]教育学専修