理学科生物学専修

生物学・生命科学領域の学識と実験技術を修得し、基礎研究能力を養います。講義で得た知識を展開する実験実習を重視し、研究、教育、産業界で活躍する人材を育成します。卒業生の多くは大学院に進学します。

取得できる学位
学士(理学)
取得できる教員免許状
理科(中学1種・高校1種)

特色

1
分子から生態系まで幅広い視点から生物の成り立ちを理解します。
2
「顔の見える」教育で基礎から最先端までの理論と実験手法を学びます。
3
卒業生は研究職や企業、教育などの多様な分野で活躍しています。
 

ミクロからマクロまで幅広い視点から生物学を学び、自ら探究する力を養う

早稲田大学で初めて生物学を専門とした学科専修として1964年に創設された本専修は、生物学と生命科学の基盤となる知識や研究手法を広く学び、科学的洞察力に秀でた人間を育成しています。

理系学科の中でも実習科目が多いのが特徴で、1年次は物理学実験と化学実験、2年次は基礎生物学実験、3年次は最先端の設備を用いた専門科目の実験実習を履修し、さらに夏季集中授業では軽井沢セミナーハウス、館山・三崎臨海実験所を拠点とした生態学、海洋生物学実習を行っています。 1~3年次は主に早稲田キャンパスで履修し、4年次には大学院生たちとともに、理学、医学、工学の各領域が融合する早稲田大学先端生命医科学センター(TWIns)で卒業研究を行い、卒業すると学士(理学)の学位が授与されます。また所定の課程を修了することにより、理科教員や博物館学芸員等の免許・資格を得ることもできます。将来は、国公立民間研究機関(研究者・技術者)、産業界(医薬創薬、化学、化成品、食品、化粧品、精密機器、情報、出版、シンクタンクなど)、教育界(高等学校・中学校の理科教員、大学教員)、公務員(行政職、技術職)など、様々な場で活躍する人材を養成しています。卒業生の半数以上は大学院(修士・博士)へ進学します。

 

YAMAMOTO MARU
理学科 生物学専修 4年
※2023年当時
山本 真瑠

自分の目で見て触れて考えることを大切に

生物学専修は一学年が40人程度と少なく、実験や実習が多いため、同期と接する機会が多くとても仲良くなれます。全体的にアットホームな雰囲気があり、先輩方や職員の方、教授陣を含めとても優しく、自分が知りたいことやわからないことを丁寧に教えてくださいます。
所属ラボでは、さまざまな生態系における炭素や窒素などの物質循環を理解するための研究を行っています。フィールドワークを基本としていて、実際に森林に行って調査を行います。
私は野外で採取した土壌サンプルを実験室で分析し、土壌と微生物の関わり合いについて研究を行っています。この研究を続けるために大学院に進学する予定です。これからもさまざまなフィールドに出て、自分の目で見て触れて考えることを大切にしていきたいと思います。

 

授業紹介

生態学・海洋生物学(実習/2~3年生)

「生態学・実習」と「海洋生物学・実習」では生態系の成り立ちや地球上に生息する生物の多様性について学びます。生態学実習では、野外に出て生物集団と環境要因に関する調査を行い、両者の関係について理解を深めます。海洋生物学実習では自ら生物を採集し、発生実験等を通じて生物の多様性の起源を学びます。実習は軽井沢や三崎、館山の森林や海浜を対象とした合宿形式の夏季集中授業を行います。

生物学実験Ⅰ~Ⅷ(3年生)

生物学実験I~Ⅷは、講義と結びついた多様な研究課題に取り組み、実践的な研究能力と学識を身につけます。例えば生物学実験Ⅳでは遺伝子組換えヒト増血因子の酵素免疫学的測定法を構築し、超微量生物体分子の定量法を学びます。

 

教員メッセージ

園池公毅教授 専門:植物生理・分子
基礎を徹底させて
境界領域に視野を
広げていく

生物学の魅力の一つは、基本的に思える事実や現象においてさえ、まだ解明されていないことが数多く残っていることです。高校の教科書で正しいとされていたことが、新しい研究によりあっさり覆ることもあります。まだ確立されていない学問分野ということなのかもしれませんが、だからこそ、新たな真実を世に問う事ができる魅力があります。私の専門である光合成について言えば、研究対象の広がりも魅力の一つです。私の研究は細胞や分子のレベルが中心ですが、物理学に近い量子・原子レベルでの研究から地球環境レベルの研究まで、光合成研究が扱う対象の大きさと時間のスケールの幅は極めて広いのです。

生物学をはじめとする科学を学ぶ上で最も重要なことは、それぞれの分野の根本原理を理解することです。学生には1 年〜 2 年で基礎を徹底的に学んでもらいます。そして生物学専修にはそのためのカリキュラムが整っています。基礎を学んだ後は、その学問の境界領域に視野を広げることが重要です。生物と化学あるいは物理を別個の分野として扱うのではなく、すべてをつながりのある学問体系の一部であると意識することは、例えば社会との接点を持つ応用研究を進めるうえでも大切です。

自分の好奇心を大切にして研究に取り組んでほしい

私は学生の好奇心こそが研究の推進力であるべきだと思っています。研究は「させられる」ものではなく「する」ものです。卒業研究に配属されたある学生は、自分で学外の実験所にお願いして「ウミウシ」を入手して、動物であるウミウシが、藻を食べてその葉緑体を暫く体内で飼い、その光合成のエネルギーを自身の養分にする過程を研究しました。特殊な光合成をする植物の研究がしたくて、他大学の先生に栽培方法を聞くところから研究を始めた学生もいます。最近では、藻類の培養が趣味という学生が葉緑体の祖先であるシアノバクテリアが藻類へと進化する過程を研究して注目を集めました。

研究室はTWins(先端生命医科学センター)にありますが、ここには最新の測定機器や飼育設備などが共通設備として整えられており、恵まれた環境で実験を行うことができます。「そのような場所で研究がしたい」という意気込みを持つ学生は伸びます。素晴らしい研究ができるかどうかは、個人の能力の有無よりも、自分の好奇心を大事にして研究に打ち込めるかどうかによって決まるのです。研究室の学生の約半数は大学院に進学する一方で、就職する学生の進路は多岐にわたります。皆さんも早稲田に入学したら、常識の枠にとらわれず、自身の可能性を最大限に広げるのだという気概で頑張ってください。

 

進路状況

この半世紀に100名以上の博士(理学)を輩出

大学院進学率が高いのが特徴的で、本専修の卒業生は、教員が兼担する大学院先進理工学研究科へ進学し、修士課程、博士後期課程まで一貫した教育研究システムの中で研鑚を積むことができます。

実際に生物学専修の卒業生の半数以上は大学院へ進学し、この半世紀に100名以上の博士(理学)、400名を超える修士(理学)を輩出しており、研究、企業、教育の各界にて第一線で活躍しています。

2018~2022年度卒業生データ

教育学科[教育学専攻]教育学専修